防水工事の種類

一般的な防水工事には主に4種類の施工方法があります。

施工場所や下地の状況、予算に応じて施工方法を選定します。

FRP防水工事

FRP防水の特徴

FRP防水とは、繊維強化プラスチック(FRP)を使った防水工法で、屋上やベランダなどの施工に多く用いられます。耐久性が高く、ひび割れや腐食に強いため、長期間防水効果が続きます。

FRP防水のメリット

  • 耐久性が高いためメンテナンス頻度が少ない
  • 隙間のない防水膜→雨水の浸入を確実に防ぐ
  • 複雑な形状や曲面にも対応可能

FRP防水のデメリット

  • 施工の難易度が高く専門的な技術が必要
  • 基盤の動きが大きい場所ではひび割れのリスクあり
  • 施工中は溶剤などによる匂いが発生する

主に施工される建物

戸建て – ベランダ、屋上、基礎の防水
マンションアパート – 屋上やバルコニー、廊下や階段の防水
ビル – 屋上、廊下や階段の防水
工場や倉庫 – 床の防水、薬品や液体などのタンクの内部や外部に発生する錆や腐食を防ぐためにFRPが用いられます

FRP防水施工の流れ

1. 下地の清掃と準備

施工前に、ベランダや屋上の表面をきれいに掃除します。汚れやほこり、油分などを取り除き、下地の状態を整えることが大切です。特に、ひび割れや劣化部分がある場合は修復しておきます。


2. プライマー(接着剤)の塗布

下地が整ったら、FRPをしっかりと接着するために、プライマー(接着剤)を塗布します。このプライマーは、FRPと下地を強力に結びつけ、長期間の耐久性を保つために重要です。


3. FRPマットの敷設

次に、FRPマット(ガラス繊維シート)を敷きます。このマットが防水層の基礎になります。必要に応じて、カットして形に合わせます。マットを敷いた後は、重ねてしっかりと密着させることが重要です。


4. 樹脂の塗布

FRPマットを敷いた上に、樹脂(エポキシ樹脂やポリエステル樹脂)を塗布します。この樹脂がマットを固めて防水層を作り、強固な防水性能を発揮します。樹脂は均一に塗ることが求められます。


5. 層の重ね塗り

FRP防水は、1回の塗布では不十分です。樹脂を塗布した後、さらにFRPマットを重ねて塗布し、数回にわたって重ねていきます。この作業により、強固で厚みのある防水層が作られます。


6. 仕上げのトップコート塗布

最後に、耐候性を高めるためにトップコートを塗布します。このコートは、紫外線や温度変化に対して防護力を発揮し、FRP層を長期間守る役割を果たします。

屋上ウレタン防水工事

ウレタン防水の特徴

ウレタン防水は、ウレタン樹脂を塗布して防水膜を形成する工法です。耐久性はFRPよりはやや劣りますが、柔軟性があり複雑な形状にも対応できるため改修工事に適しています。

ウレタン防水のメリット

  • 複雑な形状に適応可能
  • 比較的手軽に施工できる
  • 密着性がある防水膜

ウレタン防水のデメリット

  • やや耐久性が劣る
  • 定期的なメンテナンスが必要

主に施工される建物

屋上: 柔軟性と密着性に優れているため、屋上の防水工事に向いています。
バルコニー: 複雑な形状や細かい部分が多いため、ウレタン防水は適しています。
駐車場: 駐車場の床や壁など、比較的負荷が少ない場所にも使われます。

ウレタン防水施工の流れ

準備作業

  • 下地の確認と清掃: 既存の防水層や汚れ、ほこり、油分を除去します。下地がきれいでないとウレタン防水がうまく密着しません。
  • 下地処理: 必要に応じて、下地にプライマー(接着剤)を塗布します。これにより、ウレタン樹脂がしっかりと密着します。

プライマーの塗布

プライマーを塗ることで、ウレタン防水が下地にしっかりと密着します。プライマーの塗布後は一定時間乾燥させます。

ウレタン防水層の塗布

ウレタン樹脂を2〜3回に分けて塗布します。各層が乾燥した後に次の層を重ねます。この過程で防水膜がしっかりと作られます。

トップコートの塗布

最後にトップコートを塗布します。トップコートはウレタン防水層を保護し、紫外線や化学薬品から守る役割を果たします。また、滑りにくくするための仕上げ材(粒状素材)を加えることもあります。

乾燥と仕上げ

すべての層を塗布した後、完全に乾燥させます。乾燥後、仕上げとして検査を行い、問題がなければ工事完了です。